がり症の人が、あがりそうな場面や状況に、どうしても身を置かなければならなくなったとき、どのように対処すればいいでしょうか?



その一つの答えとして、次のように考えることをお勧めします。



それは、自分が、その役を演じているんだと考えるようにすることです。


どういうことかというと、例えば、あなたが、友達の結婚披露宴で、スピーチをしなければならなくなったとします。

その場合、あなたは、或るドラマで、結婚披露宴のスピーチをする役に選ばれ、台本に従って、その役を演じているんだと思うようにするということです。

つまり、本当のあなた自身がスピーチをしているわけでなく、あなたが役者としてスピーチする場面を演じているんだと考えるわけです。



このように、ドラマの中で、その役を演じているんだと考えるようにすると、実際に、あなたが結婚披露宴で大勢の人前に立ったとき、人から見られていると感じたとしても、それは、本当のあなた自身ではなく、スピーチする役を演じる役者が見られているんだと思うことができます。

実際、本当のドラマの制作現場であれば、役者が大勢の人から見られているのは当然だからです。


したがって、あなたは、結婚披露宴で実際にスピーチをしている間、そのスピーチする役を完全に演じ切ることだけを考えるようにすればいいのです。

そうすれば、自分を、役者という別の視点から見ることができるため、スピーチをしている間、自分に意識が向かなくなり、あがりの状態になるのを抑えることができます。



もし、仮に、そのスピーチで失敗して恥をかいたとしても、それは、このように考えるようにすればいいです。

スピーチで失敗したとしても、本当のあなた自身が恥をかいたのではなく、スピーチする役を演じている役者が恥をかいたんだと思うようにすればいいのです。



また、別の考え方として、このように考えることもできます。

仮に、失敗して恥をかいたとしても、それは、渡された台本にそのように書かれていて、あなたは、台本通り、その場面(スピーチで失敗する場面)を忠実に演技しただけであると思うようにしてもいいです。


以上のように、本当のあなた自身ではなく、あなたが役者としてその役を演じているんだと考え、その役を演じ切ることに意識を集中するようにすれば、自分に意識が向かなくなり、あがりの症状を抑えることができます。


ただ、ここで一つ注意してほしいことがあります。

それは、スピーチしている間、その場は、本当のドラマの制作現場であって、自分は、本当の役者としてその役を演じているんだと、目一杯想像力を働かせて、リアルな感覚を持って臨むということです。

そうでないと、スピーチをしている間、役者として演じているという感覚が遠のき、実際の自分に戻ってしまうため、望むような効果が得られなくなるからです。