緊張状態をほぐしてリラックスする方法には、まだまだたくさんの方法があります。
ここでは、自己催眠を利用した方法を取り上げたいと思います。
催眠状態を利用した精神療法の一つに、「自律訓練法」というのがあります。
ここで、お伝えするのは、この「自律訓練法」の一部を拝借して、緊張状態を和らげ、体をリラックスさせる方法となります。
「自律訓練法」は、１９３２年に、ドイツの精神科医であるシュルツ（Schultz,J.H.）氏によって開発された自己催眠を使った精神療法です。
自分自身で催眠状態を作り出すこと（つまり、自己催眠）により、心も体もリラックスすることができ、緊張やストレスを和らげるのに、非常に効果的なんですね。
「自律訓練法」は、方法として確立されているので、初心者の方でも非常にやりやすいです。
「自律訓練法」自体、標準として、背景公式と第１公式～第６公式の計７つの公式があるのですが、とりあえで、第２公式くらいまでできるようになればいいと思います。
それでは、やり方についてお話ししましょう。
１．イスに腰掛けるか、仰向けに寝るか、します。
２．目を閉じて、深呼吸３～４回をします。
３．自分にとって一番リラックスできる状態を頭の中でイメージします。
例えば、お風呂の中にゆったりと浸かっている状態や、穏やかな日差しを浴びて、芝生の上でくつろいでいる状態など、イメージすればいいでしょう。
４．そのようなイメージをしながら、
「気持ちが落ち着いている。気持ちが落ち着いている」
と、心の中で繰り返しつぶやきます。
これが、背景公式となります。
５．気持ちが落ち着いてきたら、右手に意識を向けて、
「右手が重たい。右手が重たい。」
と心の中で繰り返しつぶやきます。
６．右手が重たいと感じるようになったら、左手に意識を向けて、
「左手が重たい。左手が重たい。」
と心の中で繰り返しつぶやきます。
７．左手が重たいと感じるようになったら、今度は、両手に意識を向けて、
「両手が重たい。両手が重たい。」
と心の中で繰り返しつぶやきます。
８．両手が重たいと感じるようになったら、今度は、右足に意識を向けて、
「右足が重たい。右足が重たい。」
と心の中で繰り返しつぶやきます。
９．右足が重たいと感じるようになったら、左足に意識を向けて、
「左足が重たい。左足が重たい。」
と心の中で繰り返しつぶやきます。
１０．左足が重たいと感じるようになったら、両足に意識を向けて、
「両足が重たい。両足が重たい。」
と心の中で繰り返しつぶやきます。
１１．両足が重たいと感じるようになったら、今度は、両手，両足に意識を向けて、
「両手，両足が重たい。両手，両足が重たい。」
と心の中で繰り返しつぶやきます。
１２．両手，両足が重たいと感じるようになったら、先ほどのリラックスしたイメージを頭に描きながら、しばらく、その感覚を楽しみます。
ここまでが、第１公式となります。
このように、第１公式では、手足に重みを感じるよう、手足に自分の意識を向けることにより、自然に自己催眠の状態を作り出していきます。
なお、手足の重みの感じ方は、人によって様々です。
ずっしり重いと感じる人もいれば、地面に引っ張られるように感じるという人もいるでしょうし、ほんのちょっと重いかなぁくらいに感じる人もいると思います。
ここは、自分が重いと感じるのであれば、その大小を気にする必要はありません。
１３．再び、右手に意識を向けて、今度は、
「右手が温かい。右手が温かい。」
と心の中で繰り返しつぶやきます。
１４．右手が温かいと感じるようになったら、左手に意識を向けて、
「左手が温かい。左手が温かい。」
と心の中で繰り返しつぶやきます。
以下、第１公式と場合と同じ順序で、左手の次は「両手が温かい」、続いて「右足が温かい」、次に「左足が温かい」、そして「両足が温かい」、最後に「両手，両足が温かい」といった具合に、心の中で繰り返しつぶやきます。
１５．両手，両足が温かいと感じるようになったら、リラックスしたイメージを頭に描きながら、その感覚を楽しみます。
ここまでが、第２公式となります。
第２公式では、手足に温かみを感じるよう、意識を向けることにより、自然に自己催眠の状態を作り出していきます。
手足の温かみの感じ方も、重み同様、人によって様々です。
実際に手足に汗をかくくらいに温かいと感じる人もいれば、なんとなく温かいかなぁくらいに感じる人もいると思います。
これも、自分が温かいと感じるのであれば、程度の差にする必要はありません。
１６．第２公式まで終えたら、自己催眠の状態から覚めます。具体的には、次の手順を踏んでから、目覚めるようにします。
心の中で数を静かに数えていきます。
「ひとーつ。ゆったりと落ち着いた状態がからだの中に広がっていく」
「ふたーつ。やる気と自信がからだ中にみなぎってくる」
「みっーつ。頭の中がスッキリしてくる」」
「よっーつ。目のあたりが明るくなり、さわやかな感じで目覚める」
「いつーつ。」
両手，両足をゆっくりと曲げ伸ばし、肩や首をゆっくりと回し、静かに目を開けます。
時間のあるときに、この方法を１日２回ほど行っていくと、徐々に、心と体の緊張感がとれ、リラックスできるようになり、あがりにくい体質に生まれ変わっていきます。
