そもそも、あがり症に効く薬って、あるんでしょうか?
それは、あります。
「あがり症の治療について、調べてみた」の記事でも書いたように、精神神経科や心療内科などの医療機関では、あがり症の治療として、薬を飲んで治す薬物療法も行っていますから。
それでは、あがり症の薬には、どのようなものがあるのでしょうか?
その前に、あがり症に関わる脳内のメカニズムについて、少し、補足したいと思います。
あがり症には、「セロトニン」と呼ばれる脳内の神経伝達物質が深く関わっていると言われています。
セロトニンには、自律神経(交感神経や副交感神経)のバランスをとって、心の安定を保つ働きがあります。
従って、あがったり、緊張するような場面でも、セロトニンがうまく働けば、気持ちを落ち着かせてくれて、平常心を保つことができます。
しかし、あがり症の場合は、このセロトニンがうまく働いていないことがわかってきました。
そこで、あがり症の薬として、まずは、このセロトニンの働きをよくする薬があります。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬:Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)と、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors)です。
いずれの薬も、脳内でのセロトニンの濃度を増やす働きがあります。
SSRIの商品名としては、デプロメール、ルボックス、パキシル、パキシルCR、ジェイゾロフト、レクサプロなどが挙げられます。
また、SNRIの商品名としては、トレドミン、サインバルタ、イフェクサーなどが挙げられます。
これらの薬は中長期的な服用になるようですが、副作用もあるので、当然ながら、服用には、専門医の指示に従ってください。
また、あがり症の薬には、上記の薬とは異なり、あがりそうな場面、緊張しそうな場面が来る前に飲むと効果的である、一時的な薬もあります。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬と、βブロッカー(交感神経β受容体遮断薬)などです。
このうち、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、文字通り、不安や恐怖をやわらげる働きがあります。
商品名としては、リーゼ、デパス、ワイパックス、コンスタン、ソラナックス、セルシン、セパゾン、メイラックス、レスタスなどが挙げられます。
また、βブロッカーは、震えや動悸など、身体的な症状を抑える働きがあります。
商品名としては、インデラル、ミケラン、セレクトールなどが挙げられます。
これらの薬も、当然ですが、服用する際には、専門医の指示に従ってくださいね。
以上のように、あがり症の薬には、大きく分けて、セロトニンの働きをよくする薬と、不安や恐怖あるいは身体的な症状を一時的に抑える薬の、2種類があります。
あがり症の症状がひどくて、これらあがり症の薬の使用を考えているなら、まずは、精神神経科や心療内科などの医療機関を受診する必要があります。