ここでは、イメージングによって、あがり症を克服する方法について、お伝えしたいと思います。
人間の脳、特に潜在意識は、それが「実際の体験」であるのか「リアルな想像(イメージ)」であるのかを、区別することができません。
そのため、イメージングによって、リアルな成功体験のイメージを自分の潜在意識に送り届けることができれば、過去にあがり症に起因した失敗体験があったとしても、それを成功体験に置き換えることも、不可能ではないのです。
例えば、以前、あなたが、会社の朝礼で、みんなの前でスピーチをしたとします。
その際、あがってしまって、頭の中が真っ白な状態となり、しどろもどろとなって大恥をかきました。そのため、今では、人前で話すことから逃げ回っています。
そんな状態であっても、例えば、次のような成功体験をイメージングします。
あなたはみんなの前で堂々とスピーチをしています。その話があまりに感動的だったので、スピーチをし終えたら、みんなが割れんばかりの拍手をしてくれています。あなたは、満面の笑みを浮かべて、それに応えています。
このような成功体験のイメージを日頃から潜在意識に送り続けることにより、次第に、あなたの中で、失敗体験が成功体験に置き換わっていきます。そのため、人前で話す恐怖心が和らいでいき、人前でも緊張せずにリラックスして話せるような気になってきます。
しかし、ここで一つ問題があります。
それは、何かというと、成功体験のイメージをどのようにして自分の潜在意識に届けるかということです。
ご存じのとおり、人の意識には、潜在意識の他、顕在意識というものがあります。
顕在意識は、日常で知覚できる表面的な意識のことで、人の理性的な部分です。
また、潜在意識は、日常では知覚できない無意識のことで、人の本能的な部分です。
このように、日常では、顕在意識が優位であるため、人が例えイメージングをしたとしても、理性が邪魔をして、そのイメージを潜在意識に届けることができません。
このことは、例えば、次のような経験からも明らかです。
例えば、あなたが、1年後の自分を想像して「大成功している!」と思ったとしても、心のどこかで「そんなのウソだ!」というつぶやく、もう一人の自分がいる、
といった経験です。
この「もう一人の自分」というのが、理性ですね。
なので、日常において、イメージングをする際には、顕在意識を抑えて理性を弱める必要があります。そのような意識の状態を変性意識状態(トランス状態)といいます。
つまり、イメージングの効果を最大限に生かすためには、イメージングを変性意識の状態で行う必要があるわけです。
それでは、その変性意識の状態に入るには、どうしたらいいのでしょうか?
変性意識状態(トランス状態)に入る方法としては、次のように、多種多様な方法があります。
・アルコールを飲む
・アイソレーション・タンクに入る
・ヘミシンクなどの音声を聞く
・瞑想や座禅をする
・自己催眠を行う
※アイソレーション・タンク(Isolation tank)とは、感覚を遮断するための装置であり、光や音が遮られた空間で、皮膚の温度に保たれた高濃度のエプソムソルトの塩水に浮かぶことで、皮膚感覚や重力の感覚を大きく制限することができる。(引用元:Wikipedia)
※ヘミシンク(Hemi-Sync)とは、ステレオ・ヘッドフォンを使って、左右の耳に振動数の若干異なる音を聞かせることで、左右の脳半球を同調させ、聴く人の意識を、さまざまな状態へと安全に誘導することができる、モンロー研究所の特許技術です。(引用元:アクアヴィジョン・アカデミー・ショップ)
このように、変性意識状態に入る方法としてはいろいろがありますが、その中でも、より実践しやすい方法であって、その後に行うイメージングに移行しやすい方法は、「自己催眠」であるといえます。
自己催眠については、前回、「自律訓練法」を利用した方法をお伝えしましたので、やり方は、もう、おわかりですよね。
それでは、イメージング・トレーニングについて、一連の流れを説明いたします。
1.「自律訓練法」を利用した自己催眠を行い、変性意識の状態(トランス状態)に入る。
2.変性意識の状態になったら、あがり症克服についての成功体験をイメージングし、潜在意識の中にそのイメージを届ける。
3.イメージングが終わったら、自己催眠を解いて、目覚める。
このようなイメージング・トレーニングを、1日2回(できれば、起きてすぐと寝る前)、毎日行うことによって、あがり症克服の成功体験イメージをあなたの潜在意識に送り続けることができます。すると、あなたの中で、あがり症による失敗体験が成功体験に置き換わっていき、あがる場面に遭遇しても、緊張せずにリラックスして、あがりをコントロールすることができるようになります。
なお、イメージングを行う方法についてですが、2種類の方法があります。
1.あたかも、映画館で映画を見ているような感じで、目の前に大型スクリーンがあり、そのスクリーン上でイメージを展開する方法。
2.あたかも、3Dゴーグルを付けてVR(仮想現実)動画を見るような感じで、自分の周りの空間に、そのイメージを展開する方法。
このようにイメージング方法には、2種類の方法がありますが、あなたが実際にやる場合には、自分のやりやすい方法を選択すればいいでしょう。
ただ、よりリアル(現実的)なイメージを体感するのであれば、2.の方法(自分の周りの空間にイメージを展開する方法)を採った方がいいです。まさに自分がその場面に遭遇していると実感できるからです。
また、イメージングは、映像など視覚だけでなく、音などの聴覚や、温度や風などの触覚や、香りや臭いなどの嗅覚、場合によっては味覚など、現実の場面で体験しているのと同じ感覚を、体感することが大切です。
なぜなら、その方が、潜在意識に、あなたの届けたいイメージをより強く刻みつけることができるからです。
ここで、お伝えしたイメージング・トレーニングは、あがり症の克服だけでなく、性格の改善や能力の開発など、あなたを今よりもレベルアップさせるために、幅広く応用できる方法ですので、是非、試してみてください。
成功体験をイメージングしてあがり症を克服
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